客と仲良くなる

お客様と仲良くなるために、友人のように会話するホストがいますが、それは誤りです。友人であれば対等ですが、ホストとお客様とは当然ながら対等ではありません。従って、おお客様を前にすると、傾聴と呼ばれる姿勢が必要になります。指名をもらってしばらく経った頃であれば、友人のように振舞うことも許されるでしょうが、最初は必ず傾聴に徹しなければなりません。つまり、相槌を打ちながら、ひたすら聞き手に回るのです。もちろんお客様に対する敬意があるからこそできる態度であり、それ故話の腰を折ったり、否定したりするのは禁物です。
確かにホストから話しかけることを望む客も多いのですが、そうした客であっても時には愚痴を聞いてもらいたかったり、沢山話してストレスを解消したかったりします。ですから客の望んでいることを敏感に察知した上で、臨機応変に対応することが求められるのです。ホストクラブは特別な場所ですから、相槌を打ちながら話を聞くだけで、数万円が飛び交います。上手く客の心理を見抜けば、そうした稼ぎ方が出来ますし、客も満足してその額を支払います。
例を挙げましょう。客が自分の不幸話を始めたとします。ホストはそれに対してどう反応すれば良いでしょうか。過去に実際にあった例ですが、あるホストは「自分なんてそれより酷い経験をしましたよ!」と自分の身の上話を始めてしまい、客を退屈させてしまいました。この種の客は話を聞いてもらえれば満足するタイプですから、ホストとしては関心を示すことのみに徹するべきです。例えば、「本当ですか?その後どうされたのですか?」などと返答すれば良いのです。

ホストとお客様の主従関係

お客様は自分の指名ホストを彼氏だと思っている、思いたいと考えている人も多いです。実際に人に会う際に私の彼氏です、とホストを紹介するお客様もいます。そのように紹介された際、ホストはどのような対応をとれば、お客様に舐められたり、後々関係がこじれたりしないのでしょうか。あるホストクラブに、後輩を数名連れてきた女性がいました。女性は指名ホストのことを自分の彼氏だと後輩に紹介しました。そのホストは特に否定はせず、後輩のお客様をヘルプのホストとともに接客し、とても盛り上がりました。そして、後輩がそれぞれヘルプホストを指名し、その日は解散となりました。解散後、そのホストとお客様はアフターに出かけたのですが、その際にホストはお客様に「自分は彼氏ではない」としっかりと否定したのです。後輩や友人の前ではしっかりとお客様の顔をたて、締めるところはしっかりと締めるというメリハリをつけることで、ホストとお客様という距離を保つことができ、お客様に、指名ホストは自分のものという勘違いをさせずに、緊張感を持たせるということができるのです。いつでもお客様の言いなりになっていると、なんでも言うことを聞いてもらえるとお客様に思われたり、後々手を焼いたりせずに関係性を保つことができるのです。また、お客様が、ヘルプホストに紹介する女性客を連れてきてくれるということはよくあります。ホストから、連れてきてほしいとお願いすることもあります。その連れてきてくれた新規のお客様のことを業界用語で「枝」と呼びます。お客様を軸にどんどん枝葉に広がっていくという考えが語源と考えられています。

ホストのノルマ

 ホストの世界にもノルマがあります。しかしノルマを達成するために焦って行動すると、失敗するのは目に見えています。客も馬鹿ではありませんから、強引に注文を取ろうとするホストに対して嫌悪感を抱きます。ホストは、客との信頼関係を軽視するようなノルマを課す店を、就職先として選択するべきではありません。一般企業であれば「ブラック」と呼ばれるようなところがそれに当たります。ではホワイト企業にあたるお店にはどのような特徴があるのでしょうか。一つは、従業員に無理をさせないところです。大手の中には、深夜営業を控えているところもあります。二つには、ブランド化されている点です。客はその店に通うだけで自慢できますし、ホストも従業員であることにプライドを持っています。ホスト一人一人の勤続年数も長い傾向にあり、風通しが良いのも特徴です。筆者の所属する店もそうですが、人件費を売り上げの50%に設定している店は、ホストの労働意欲を維持することが出来ます。50%は最低ラインですから、売れっ子になると給与の比率はさらに高くなり、モチベーションが下がることはありません。
 ホストクラブがブランド化されるのであれば、ホストも同様にブランド化され、カリスマが出現するようになります。また、カリスマホストに群がる客は質が高く、大金を支払ってくれます。

悩み相談をされるホストになる

ホストはお客様の話を聞くことが仕事です。その話をしていくうちに、愚痴や雑談ではなく、お客様の悩み相談に発展することも少なくありません。仲良くなり、信頼されると悩み相談をされることも多くなるでしょう。悩み相談をされて初めてお客様に信頼されていると考えることもできるでしょう。人気のホストはいろいろなお客様に相談を持ち込まれ、常に悩み相談を受けているなんてこともでてきます。では、どのように、悩み相談に対して答えればお客様にとってベストになるのでしょうか。それは、自分なりのアドバイスはしないということです。お客様が相談する理由は、自分が考えていることに対して賛同してほしいからなのです。新しい意見がほしいというわけではありません。相談している段階である程度の答えがお客様の中で出ていることがほとんどですので、どの答えをお客様が欲しているのか、これを見つけ出すことが悩み相談に上手く対応するコツなのです。例えば、お客様がバッグを購入しようとしており、黒にしようか赤にしようか迷っているとします。そこで、ホストに「どちらが良いと思うか」と質問してきたら、自分が良いと思う方ではなく、お客様が良いと思っている方の色を勧めます。会話の節々などからお客様の中で出ている答えを探し出すのです。その答えと別の方を答えてしまうと、お客様は不満顔になってしまうでしょう。選択は間違わないようにしなければなりません。相談に乗ることを得意としているホストによると、相談内容に親身に耳を傾けるというよりは、相槌をしっかりと打つことが、聞いてくれているとお客様が感じる方法だといいます。そして最後にお客様が欲しがっている回答を伝える。これで、お客様は自分のことをしっかりとわかってくれていると感じ、信頼度が増すと考えられるでしょう。

アップセルの効用

 ホストの接客スキルは、マーケティングの知見を活かしたものになっています。異なる商品を連続的に購入してもらうためには、最初に契約した日から時間を置かず、積極的に次の契約の話をすることが欠かせません。客の興味が薄れる前に、勝負をかけることが大切なのです。ホストの世界でもこの法則が当て嵌まります。つまり、客が来店して楽しんでいる最中に、次回の来店の話をして約束を取り付けるのです。このアップセルと呼ばれる手法によって、絶えず指名を得ることが出来るのです。
 ホストも店から出れば気を抜きたくなるものですが、最低限の注意は必要になります。というのも、店外での行動を見ている客が必ずいるからです。例えば、プライベートな時間に食事に出掛けるとしましょう。ホストが大衆食堂に入店しているのを見かけたら、客はどう思うでしょうか。大衆食堂が悪いという意味ではなく、あくまでも客の夢を壊さないために、店を選ばなければならないということです。客のタイプも様々ですが、中には生活感のあるホストに幻滅する人もいます。スーパーで買い物をしているホストを見かけただけで、その店に来なくなる人さえいます。もちろん休日にどのように過ごしても、それはホストの自由なのですが、何としても売上を伸ばしたいと考えているホストであれば、そこまで気を付けなければならないのだと留意すべきでしょう。
 投資の世界では常識ですが、リスクは分散した方が良いとされます。ホストも一握りの上客だけで稼ごうとするのではなく、多くの客の相手をした方が無難です。客の行動は気まぐれですから、いつでも特定のホストを見限るものです。上客だからといって頼りにし過ぎると、売上がある日突然激減することがあります。

好印象を与えるテクニック

 ホストもそうですが、普通の会社員でも身だしなみや服装に気を付けるはずです。それは、ルックスや言葉遣いよりも、服装や態度の方がファーストインプレッションに大きな影響を与えるからです。無精ひげの生えた営業マンは信用されないでしょうし、清潔感のない服装で近寄ってくる人は嫌われるでしょう。ホストもそうした点に気を付けています。特にホストの場合、お客様のほとんどが女性です。女性は男性よりも清潔感を重視するため、気を抜くことが出来ません。人間の評価は外観だけで決まるものではありませんが、それは長い付き合いの末に言えることであり、第一印象が悪ければ即座に関係性が断ち切られる世界では、内面よりも外見、態度が物を言うのが現実です。
 ホストのこうしたコミュニケーション術は、細かな点まで徹底されています。例えば、シャツは一回着るだけでクリーニングに出す人もいます。プロにアイロンをかけてもらうことで、常にシワやシミの無いシャツを着ることが出来るからです。スーツでさえ、細目にクリーニングに出されます。新人ホストであれば痛い出費ですが、客の印象を少しでも良くするためには、避けて通れない努力の一つなのです。
 ナンバーワンを勝ち取るホストであれば、頻繁に鏡を見て身だしなみをチェックします。もちろん体臭、口臭にも気を払いますし、消臭スプレー、うがい薬等は常備しています。ホストでなければ、ここまで客のために気を遣う人はいないだろうと考えられます。実際、美容室やアパレルショップを訪れると、清潔感のない店員さんも働いているのを見かけます。

ホストのスケジュール管理

 最近のホストはネット上のツールやスマホのアプリを上手に用いてスケジュールを管理しています。例えば一か月の予定を全て頭に入れることはできませんから、カレンダー機能の付いているツールを使って約束を忘れないように気を付けます。お薦めするのはグーグルのツールです。グーグルカレンダーは使い勝手が良く、ホストに限らず、様々な業種で使用されています。お客様の中にもグーグルのツールを使用している方がいらっしゃいますから、連絡を取る時も大変便利です。昔であれば、フィーチャーフォンのアドレス帳等に、お客様の個人情報を入力して管理するのが一般的でしたが、今ではエバーノートを使うホストが増えています。エバーノートに書き込む内容はホスト毎に異なっているでしょうが、多くのホストは客の好み、お酒に強いか弱いか、住所、趣味等を細かく書き入れています。それを上手に利用して、客とのコミュニケーションに活かすのです。
 ところでホストと言えば、イケメンというイメージを抱いている人も多いのですが、実際は俳優のように整っている人は多くありません。それでも多くのお客様が来店するのには理由があります。ホストが初めて来店した客に対して気を付けるのは、表情、言動です。ルックスの良し悪しはどうすることも出来ませんし、客も実はそこまで容姿に拘っているわけではありません。むしろどのような態度で応接してくれるのかを細かく見ています。その際、言葉遣いにも気を付けるべきでしょうが、より重要なのが身体的なメッセージなのです。

ホストと性病

新宿歌舞伎町には、イケメンのホストを求めて群がる女性たちが大勢います。あなたがそのうちの一人かどうかは分かりませんが、女性なら誰しも、あの甘いマスクのホストと深い関係をもちたいと一度は考えたことがあるのではないでしょうか。しかし歌舞伎町の裏事情を知ると、そのような呑気な考えを捨てざるを得なくなるかもしれません。単刀直入に言えば、ホストと寝るには注意が必要です。
ホストというのは商売の性質柄、指名客を引き寄せるためにも枕営業を積極的に行います。この傾向は昔に限らず、現在でも続いているのです。しかし風俗嬢やキャバ嬢とは異なり、ホストの枕営業は単なる仕事の一環として整理できないことを、女性は知る必要があります。つまりホストが客と寝る時、それは単純な営業ではなく、個人的な性欲からの行動であることも少なくないという事実です。こうした枕は「趣味枕」と呼ばれており、ホスト業界では常識とされています。この場合、ホストが関係を持つ女性客は、総じて容姿の優れた客ばかりです。自分の欲求から関係を持っているわけですから、当然と言えば当然です。ホストは客の容姿を気に入るとすぐにアフターに誘い、初回のアフターでホテルに連れ込んだりしています。
私の見立てでは、誰もが一瞥して美人だという印象を持つくらいの客は、皆アフターに誘われています。何人かの女性客に誘われた後の行動を尋ねたのですが、いずれのケースでもホテルに向かっていました。女性客はそれを嫌がるどころか、自慢するかのように私に漏らしていたのが印象的でした。私が経験した範囲でもそうなのですから、恐らく歌舞伎町全体に蔓延している文化なのでしょう。

ホストの実態2

ホストクラブの中には、「寮完備」とありながら実際にはお店での寝泊まりを指していたり、募集要項では時給3,000円と記載があっても実際には600円くらいと言えるケースがほとんどです。もちろん良識の備わったお店もあるのでしょうが、仕事の大半がサービス残業であるのが業界の常識です。つまり表の「勤務時間」と実際の「残業」との比率が一般的職業とは逆転しており、「2時間の勤務の後、9時間残業する」といったケースが定番となっています。交通費が支給されないこともあり、労働基準法など守っていない店も少なくありません。
不況下ですから、時給600円でも仕事があるだけよいのかもしれませんが、何故このような現象が生じているのでしょうか。ホストの客のほとんどは、若い風俗嬢だと言われています。世間がイメージするような、社長夫人のようなマダムは少数にとどまっているのです。
もちろん客の内訳はお店にもよりますが、高級店を除き、常連客が風俗嬢である店が大半であるのも事実です。

ホストの実態

ホストである以上、色々な人が同僚になり得ます。中には家出してすぐに働いているようなホストもいるくらいで、彼らにとっては寮の部屋を割り当てられるだけでもありがたいのです。しかし人間の肉体、精神には限界がありますから、そうした状態を長く続けることは不可能です。ホスト業界の事情は、最近では無縁の人たちの間でも知られるようになりましたから、例外的に個室の寮を提供しているホストクラブであれば、「個室寮完備」と、わざわざアピールしていることも珍しくありません。ホストになろうと考えている人は、そうした寮の実状についても、応募先の募集要項等をよく確認して調べるようにしましょう。確認すべきなのは寮だけではありません。実はホストの時給は募集要項には3000円と表記されていたりするのですが、実際は600円くらいと言えるケースがほとんどです。